小説

【書評】「MOMENT / 本多孝好」死を前にして何を思う?

どうも、りょりょです!今回は本多孝好さんの「MOMENT」を紹介します。

 

人は死を前にして何を思うのか・・・。

 

生と死が混雑する病院という場所を舞台にした連作短編集。

 

累計30万部超えのベストセラーです。

著者

本多 孝好(ほんだ たかよし)

1971年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。1994年、「眠りの海」で第十六回小説推理新人賞を受賞し、作家デビューする(本書より引用)

 

あらすじ

死ぬ前にひとつ願いがかなうとしたら・・・・・・。病院でバイトをする大学生の「僕」。

 

ある末期患者の願いを叶えた事から、彼の元には患者たちの最後の願いが寄せられるようになる。

 

恋心、家族への愛、死に対する恐怖、そして癒えることのない深い悲しみ。

 

願いに込められた命の真実に彼の心は揺れ動く。

 

ひとは人生の終わりに誰を想い、何を願うのか。そこにある小さいけれど確かな希望。

 

静かに胸を打つ物語。

感想


“命””生きる”をテーマとした4つの短編集。

 

病院の清掃員でアルバイトをしていた学生が死が近づいている患者達に接していくうちに、それぞれの患者の心の声を間近に聞くことになります。

 

その心の声に応えるようにできる限り患者の願いを叶えさせていく。

 

健康な人たちはいつか死ぬのに、それを意識しないで生きていることがどれほど幸せなことなんでしょうか…。

 

死を前にして人は何を考えるのだろう。

 

会いたい人、行きたい場所、心残りはきっと誰にでもあると思います。

 

「死にゆく人の願いを一つだけ叶えてくれる」そんなおとぎ話のような噂と嘲笑う人もいるかもしれません。

 

しかしその願いたちは複雑で本人以外は誰も理解できない背景を背負っています。

 

でも叶えてほしいと願っているという事実だけは確かに目の前にあります。

 

誰も分からない、他の人間の胸の内なんて。

 

それでも人は人と関わりあって生きていく。

 

前の世代から受け継ぎ、次の世代に伝えていく。

 

人生は短く儚い。でも人は何かを残そうと今日も生きています。

 

自分の好きなことが病気のためでできない人たちの境遇を考えると自殺なんてもってのほか、精一杯生きることがどれほど価値のあることかを考えさせられました。

 

終わりに

 

感動作品かと思ったら大間違い。

 

全部で4編からなる連作短編集ですが、全ての作品にミステリ要素が入っています。

 

そのさじ加減が良く、一気に惹きこまれて読める作品です。

 

自分だったら『死ぬ直前に何を想うのか、何を願うのか』を考えさせられました。

 

もし「あなたはあと1週間で亡くなります」と言われたら・・・。

 

あなたなら何を願いますか?

 

きっとまず悔しさや悲しみがくるでしょう。

 

「まだ死にたくない」「どうして自分が・・・」

 

そしてその後で何かを想う。

 

この作品に出てくる“死を間近にしたものたち” にはその悔しさや悲しみを振り切ったあとの決意が感じられます。

 

それがリアルで切ない一冊でした。

 

さいごまで読んでいただき、ありがとうございました!